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(4)港内操船ジョイスティックシステム
港内操船ジョイスティックシステムは、一本のジョイスティックレバーの操作によって、離桟、着桟などの低速時の複雑な操船を可能とするもので、操船者の負担を軽減して余裕を与えると共に、船舶の持つ能力を最大限引き出すことを目的とした操船支援システムである。
制御アルゴリズム概要
港内操船ジョイスティックシステムの制御ブロック図を図2−3−7に示す。制御のモードにはジョイスティック指令による平行移動モードと方位設定摘みによる方位制御モードがある。ジョイスティックレバーと方位設定摘みは独立して操作する事ができるため、平行移動と旋回を組み合わせた運動を指令することが可能となる。(但し、10。以上の旋回角度が指令されると本システムでは方位制御を優先する。)
ジョイスティックレバーを中立位置から右または左に倒すと横移動モードに移行する。この時、船尾部ではCPPは前進側の翼角、舵は最大舵角となり、主機の前進推力は横方向の推力に変換され、スタンスラスタの役目を果たすことになる。ハウスラスタの推力とあわせて船体は平行移動することになる。
ただし主機の前進推力は全て横方向の力に変換されないため、残った前進推力を打ち消す必要がある。このときにはCPPは適宜後進側に使用される。個々の時間断面では、船体は前進推力あるいは後進推力を持っている状況となるが、一定時間内で見た時には前進推力の和と後進推力の和は相殺されていることになり、結果、ジョイスティックレバーの倒した方向への移動が可能となる。この移動方式は平均推力方式と呼ばれている。
また、ジョイステックレバーにはパワーアップボタンがついており、このボタンを押下することにより、移動のための推力を増強させることが可能となる。
内航近代化実証船に装備されたジョイスティックシステム操作ユニットを図2−3−8に示す。操作ユニットはポータブルであり、ウイングに持ち出して操作することができる。

 

 

 

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